知覚過敏について Q&Aシリーズ
Q:冷たいものを食べると歯がしみます。虫歯ですか?
A:一過性のものであれば、知覚過敏の可能性が高いです。 知覚過敏とは、歯ブラシの毛先が触れたり、冷たいもの・甘いもの、風に当たった時などに感じる一過性の痛みで、特に虫歯や歯の神経(歯髄)の炎症などの病変がない場合に見られる症状を言います。
<知覚過敏について>
Ⅰ.基礎知識
<作用機序!!>
正常な歯は、エナメル質に覆われていて守られているが、何らかの原因により象牙質がむき出しになると、外部からの刺激(冷たいものなど)が象牙細管[*1]を通って歯の内側の神経に伝わり、結果として瞬間的に鋭い痛みを感じるようになります。これが知覚過敏症状の痛みの特徴です。
*1象牙細管とは~
歯の組織の1つ象牙質に無数に存在する、レンコンの穴のような構造の管。液体で満たされていて、この内容物が温度差や浸透圧で膨張したり、動いたりすると、管の一方の端にある神経を刺激し、私たちを悩ませる「キーン」という痛みが生じるのです。
Ⅱ.原因
① 歯肉の退縮
② 歯の破折・ヒビ・亀裂
③ 歯ぎしりや咬み合わせにより歯が擦り減ることによる象牙質露出(楔状欠損など)
④ 歯が溶けることによる象牙質露出(酸蝕歯など)
⑤ 虫歯治療に伴うもの
⑥ ホワイトニングに伴うもの
III. 治療法
① 自宅で出来る対処法
生活習慣を見直すことで改善できる場合もあります。
1)優しい力で歯磨きをする
強くブラシを当てている方が多いようです。ゴシゴシ磨きをしない。 来院の際には、お手入れの確認を致します。お待ちしております。
2) 歯に優しい歯磨き粉を適量使う。
知覚過敏用の歯磨き粉を使用する。本院には、試供品の用意もあります。来院ください
3) 歯を食いしばらない
意識することで減らすことが出来ます。
4) しっかりと噛む(ガムも良い)
唾液の分泌促進。唾液の再石灰化作用を期待します。
② 歯科医院で出来る対処法
1) 知覚過敏用の薬を塗布する
症状によっては1回では効果がでないこともあります。繰り返し塗布する必要があります。
本院には何種類か薬を揃えてます。来院ください。
2) コーティング剤で保護する
歯のしみる部分にコーティング剤を塗る方法があります。
3) レーザーを当てる
神経を安静にさせることで、知覚過敏症状を和らげます。
4) 削れた部分に詰め物でカバーする
白いプラスティックの詰め物で削れている歯の根元をカバーします。
5) マウスピースを装着する。(*2)
歯ぎしり食いしばりによる、歯の負担を軽減します。
6) 歯周病の治療をする
知覚過敏を引き起こす原因となる歯周病は、放置すると、歯の周囲の組織(歯ぐき・歯槽骨)を破壊し、最終的には歯が抜けてしまう原因にもなります。知覚過敏の有無に関わらず、歯周病がある場合には、早めに治療を受ける必要があります。歯周病の治療を進めていく中で歯石を除去するため、今まで歯石に覆われていた象牙質が露出することで、知覚過敏が一時的に悪化することがありますが、歯周病の治療は歯を長く守っていくためには必要不可欠です。
7) 歯の神経を抜く
知覚過敏の症状がひどい場合の最終手段です。今まで紹介したいずれの対処法でも改善されず、痛みが強く堪え難い場合には歯の神経を取る処置をします。神経を抜いた歯は「脆くなりやすい」「変色しやすい」「虫歯が進行しやすい」などのデメリットがあるため、歯を長持ちさせることを考えると、極力神経は残した方が良いのですが、痛みが耐え難いほど強く、しかも長く続く場合の最終手段として神経を抜く治療があります。
*2 なぜマウスピース?
歯ぎしりや食いしばりなどの強い力が歯にかかり続けると、力の集中する歯の根元のエナメル質がタイルのようにポロポロ剥がれ、軟らかい象牙質がむきだしになります。歯の根元を日々のブラッシング(特にブラシ圧の強いゴシゴシ磨き)を繰り返すことで、楔状に削れてしまい知覚過敏の症状が現れるのです。
Ⅳ.まとめ
知覚過敏だと思っていたら、「実は虫歯や歯周病だった」ということも珍しくありません。知覚過敏の症状は、「エナメル質が傷んでますよ。」「象牙質がむき出しになっていて危ないですよ」という歯からのサインです。このサインを見逃さず、一度来院し、お話しを聞かせてください。お待ちしております。