マウスピース・ナイトガード
むし歯ではないのに歯が痛む、朝起きたとき顎が疲れていることがある、そのような場合、就寝中に歯ぎしり・食いしばりをしているのかもしれません。
そこで有効とされているのが、就寝用のマウスピース・ナイトガードの使用です。
マウスピース・ナイトガードとは?
患者さんの歯型を取り製作するもので、就寝用に装着すると歯や顎に加わる力を暖和することができます。通常は硬いアクリル樹脂で製作し、上あごに装着します。
下あごが動いて強く噛みこもうとしてもスルスル滑って力が分散しやすく、噛みこんだとしても歯の代わりに削れてくれます。
歯科医院で簡単に作れて、装着するだけで被害をへらすことができるナイトガード。
歯ぎしり・食いしばりの自覚はなくても、犬歯や前歯が削れている、詰め物やかぶせ物がよく外れたり壊れる、歯が折れて抜歯になったことがあるなどの患者さんは力のコントロールが必要かもしれません。
大切な歯を守るため、顎関節症を防ぐために是非一度ナイトガード使用についてご相談ください。
歯ぎしり・食いしばりとは?
眠っているとき、また起きているときにに歯をギリギリと強くこすり合わせたり、強く噛みこんだりすることをいいます。
歯ぎしり・食いしばり(ブラキシズム)には、ギリギリと音を立てる歯ぎしり(グライディング)と食いしばり(クレンチング)があります。
歯ぎしりならばご家族に指摘されて自覚につながることもあるのですが、食いしばりの場合はほとんど音がしないので、ご本人はもちろん、周囲の方も気づきにくいものなのです。
原因としては、ストレスや睡眠の質、服用中の薬の影響、飲酒、喫煙など様々ですがもっとも多いとされているのはストレスです。しかし忙しい現代人がストレスと無縁の生活をすることは難しいかと思います。
特に睡眠中の歯ぎしり・食いしばりは無意識に行われるため、自分で気づいて止めるということができないため、改善が難しいと言われています。
睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠があり、歯ぎしり・食いしばりの大半は浅いノンレム睡眠の時に発生することがわかっています。
つまりグッスリと深く眠るかたのほうが、浅いノンレム睡眠を小刻みに繰り返すかたに比べて、歯ぎしり・食いしばりをする時間帯が短くてすむということなのです。
歯ぎしり・食いしばりで起こる被害
自分で自分の歯を削ってしまう
エナメル質が欠けてしまい象牙質や神経がむき出しになってしまうこともあります。象牙質や神経がむき出しになると、知覚過敏やむし歯のリスクが高まります。
歯周病の悪化
歯ぎしりで揺さぶられると歯槽骨が失われるスピードが早くなり、歯が倒れる・動くなど症状が悪化しやすくなってしまいます。
歯が折れる・かぶせ物が壊れる
強い力が加わってレジンやセラミックが割れてしまうことがあります。また、ご自身の歯も徐々に傷み、折れて抜歯が必要となることもあります。
顎関節症
顎関節に圧力がかかり顎関節症を発症することがあります。顎関節症とは開閉時に痛みや音がしたり、口が開きにくくなったりします。
睡眠時無呼吸症候群用マウスピース
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に気道がふさがることによって、繰り返し呼吸が止まってしまう病気をいいます。眠るとき、弛緩して垂れ下がった舌や軟口蓋が、気道をふさいでしまうために起こります。
睡眠時無呼吸症候群のかたは、無呼吸や低呼吸を繰り返し呼吸困難に陥って苦しいため、グッスリと深い眠りに落ちることができません。
そのため日中の強い眠気、注意力が散漫、いつも口を開けているなど日常生活にも影響を与え、放っておくと健康を損ね、いのちに関わるような重篤な病気を引き寄せかねません。特にいびきが初発症状と考えられています。
たかがいびきと侮らず、医科の睡眠外来などで検査を受けましょう。歯科では治療用のマウスピース、オーラルアプライアンスの提供を行っています。
歯科で製作されているオーラルアプライアンスとは、口を閉じ下あごを前に出して固定することによって、睡眠中に舌や軟口蓋がダラリと下がらないようにする装置です。
患者さんの歯型を取り顎位を記録したうえで精密に制作され、装着後の調整もしっかり行うためよくフィットし、装着感がよいのが特徴です。
医科の診断書をお持ちいただければ、製作は保険適用(装置の選択によっては自費)です。基本的には成人のかたが対象となります。
参考文献
歯科衛生士2016.10月号
nico 2015.8月号